「私たちが海をみているように、海も人間をみています」
『神宝塩』の開発者・工藤清敏さんの言葉です。取材中にお聞きしたその言葉があまりにも素敵だったので、皆さまと共有したいと思いました。
前回の記事「塩で大切なのは非加熱か加熱かではなく、人間がつくっているかどうか」というお話の続きにもなりますので、ぜひ最後までお読みください。
※『神宝塩』は、13ヶ国の伝統的海塩をはじめ、岩塩、竹塩など17種類の塩をブレンドし、微量ミネラル元素を増やした波動塩です。
人間が関わると、大自然が答えてくれる
塩のエキスパート、工藤清敏さん。奈良県にある「龍鎮神社」への参拝にご一緒させていただきました
工藤清敏さん:海水には、地球上にあるほぼすべてのミネラルが含まれています。そして、海水と人間のミネラル組成はほとんど同じです。
ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、塩素、リン、硫黄の7大ミネラルが、実は私たち人間の生命の恒常性維持を大きく支えています。
そのため、海水から塩をつくる際に大事なのは、“人間にとって必要な微量ミネラルが残っていること”です。
ところが、自然にできる天日塩の場合だと、微量ミネラルは空気中に出ていき、雨になって降り注ぐ過程で植物のために使われて、99%以上は塩化ナトリウムになってしまうケースが大半です。
また岩塩(※)は、それぞれのミネラルが均等に結晶化せず、時間差で層になるため、場所によっては一部のミネラルが多く含まれるなどのばらつきがあります。(※ 地殻変動による海底隆起などで海水が陸上に閉じ込められ、長い年月をかけて水分が蒸発することによって塩分が濃縮したもの。)
一方で、日本の釜炊きなど人間が関わる塩づくりでは、微量ミネラルが豊富に残り、人間の組成に限りなく近いミネラル構成になるのです。
海水と人間のミネラルの構成はほぼ同じと言っても、ミネラルによっては量が多かったり少なかったり、それぞれに異なります。
例えば、マグネシウムの量は海水の方が断然多いんです。なので、そのまま塩にした場合は、人間にとっては多すぎるんですね。
そこで、古来の塩づくりでは各ミネラルの結晶化する時間差を利用して、最後に結晶化するマグネシウムをすべて結晶化させずに残しておくんです。すべてを結晶化させれば生産量を増やすことができるのに、日本でも世界でもそうはしない。
マグネシウムはいわゆる“にがり”の主成分ですから、結晶化させない分は豆腐づくりに使ったり、苦味の問題があったりするためかなと考えていましたが、そうではなかった。
昔の人は、マグネシウムの量が海水と“違うことを感じ取り”、ちゃんと人間のからだに合うように調整していたんです。
海水のマグネシウムの量が10だとしたら、1~2くらいの人間にとって必要な量だけを残す。そして残りは別の形で活用する。
人間にとって、どういう状態の塩がいいのかということを、“感覚”で捉えていたのでしょうね。科学的なことはわからなくても。
自然をしっかり観ていたのでしょう。
そして、だからこそ自然も人間をみつめ返して、力を貸してくれていたのだと思います。
大自然は、浄化作用や治癒力など、自らの不調和を清めて癒す力を持っています。人間も自然の一部ですから、何かしらの不調を抱えていれば、自然はそれを癒すということがあると思います。
そのため、人間が愛情を込めて野菜をつくると、野菜がその人をスキャンしてその人が抱えている不調を癒すような成分をつくり出すことがあるといいます。
海も同じなのでしょう。人間が愛情を持って塩づくりをすると、人間を癒す塩になってくれる。海が人間のエネルギーを感じて、「これが人間にとって必要だよ」と微量ミネラルを残してくれる。
人間が海と関わってつくる塩には、そういう大自然の力が働いているのだと思います。
私たちが海を観ているように、海も私たちを観ているのです。
海と人間の関係性について、工藤さんのお話をお届けしましたが、いかがでしたか?
思えば、私たちはいつも大自然に抱かれて生きていますね。その中に、わたしたちを癒せないものはないのだろう……。工藤さんのお話を聞いて、そんなことを感じました。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。